#30 -REO side- ページ30
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俺が保健室を出た時、ちょうど片寄涼太が扉を開けようとした時だった。
よりによって今こいつに会うなんて …
「なに」
涼「 … Aちゃん、大丈夫?」
「あぁ、別にただの風邪だってさ」
涼「そう … 」
… 待て。
こいついつからここにいた?
明らかに様子がおかしい。
いつも爽やかを振りまいてるこの先輩が、タレ目をもっと下げて目を潤ませてるなんて有り得ない。
さっきの … アレを見てこの反応だとしたら …
片寄涼太がAのことを …
「お前になんかぜってぇ譲らねぇからな … 」
涼「え、なに?」
「 … Aに会ってもいいけど指一本すれんじゃねぇぞ」
とびっきりの殺意を込めて。
涼「了解」
とにかく気に食わない。
何もかも全部。
顔も、声も、ルックスも、性格も、ヘラヘラしてんのも、王子って呼ばれてんのも、Aに近づいてんのも全部。
てかなんでAとアイツが仲良くなってんだよ。
まだ数原先輩はいいよ、いい人だから。
でも片寄涼太から嫌な匂いしかしない。
ほら、やっぱり俺の感は当たるんだ。
教室から荷物を取って帰ってきたら、彼女の手を取ってご満悦そうな片寄涼太がいた。
よーし、ぶん殴ってやろうと思ったけどAの前だからとりあえず飲み込んで。
「おい、その手なんだよ」
とにかくまた殺意を込めて。
涼「 … 気付かれちゃったか」
そん時の片寄涼太の表情は、完璧に俺に喧嘩売ってきてた。
じゃあ、お望み通りかってやるよその喧嘩。
と言ったはずなのに。
そもそもこいつと同じフィールドに立ってなかったんだ、俺は。
車で帰ると言った時点でおかしいと思うべきだった。
片寄涼太が金持ちだってことに。
彼女を車の後部座席に乗せると、俺と片寄涼太の2人に。
またあの勝ち誇ったような笑顔。
「 … お前、何がしたいわけ?」
涼「何も?ただAちゃんの心配してるだけ」
「それだけじゃねぇだろ、絶対」
彼の表情が一瞬で冷めきって、俺のブレザーの襟を乱暴に掴み顔に引き寄せられる。
涼「Aちゃんは … 僕がもらうから」
嘘じゃない、こいつ本気でそう言ってる。
「は … っ、受けて立ってやるよ、片寄せんぱい」
精一杯の威勢を張ってみたものの、こんな奴に勝てんのかとビビってる俺もいた。
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夜天(プロフ) - 美心さん» 亜嵐くんの誕生日ですか!?羨ましい(泣)移行先でもよろしくお願いします! (2018年11月10日 9時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
美心(プロフ) - 私は8月4日に参戦して来ました!更新頑張ってください! (2018年11月9日 22時) (レス) id: 3a297c68b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - 佐野玲於の名無しのfanさん» ありがとうございます!まだまだ最後を迎えるのは先なので最後までどうかお付き合いください! (2018年10月16日 7時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
佐野玲於の名無しのfan(プロフ) - オチが気になる〜!!読み終わったとき心臓がキュンキュンします!続き頑張ってください! (2018年10月16日 0時) (レス) id: 24c1463825 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - あゆんさん» ありがとうございます!これからもきゅうってさせちゃいます!! (2018年9月30日 6時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜天 | 作成日時:2018年9月10日 23時