No.41 ページ43
パーティーが中盤になった頃、バーボンさんは持っていた食器をウェイターに渡した。
そして、私の手を取ると、そのままホール横の出口から廊下へ出た。
『あのっ、どこに行くんですか?』
バ「すぐ隣の部屋です。
立ち振る舞いは一晩で覚えられましたが、ダンスはそうはいきませんからね。」
バーボンさんは、私の手を引いて、別の部屋のドアを開けた。
ドアの奥には、隅に大きな蓄音機が置いてある、小規模なステージがあった。
バーボンさんはタイを少し緩め、蓄音機をつけると、私の両手を取って微笑んだ。
バ「今からダンスの練習をします。
僕は少々手厳しいという自覚があるので、疲れた時は遠慮なくおっしゃってくださいね。」
『はい、頑張って覚えます!』
バ「ふふ、いい心がけです。ではまず、立ち姿は…」
それから私は、バーボンさんが女性の立ち回りをするのを真似て、次にバーボンさんと踊ってみて、というのを繰り返した。
バーボンさんの足を踏んだり、転けたりしながらも、形はできてきた。
ふと時計を見ると、短い針がもうすぐ11を指そうとしている。
バーボンさんは私の視線に気づくと、私の手を離して、ふぅ、と息をついた。
バ「今日はここまでですね。
明日も、このホテルで練習しますから、今日の復習をしておいてください。」
『はい。今日は、ありがとうございました。』
私がぺこりと頭を下げると、バーボンさんもお辞儀をしてくれた。
バ「アジトまでお送りします。
早く帰らないと、ジンに怒られてしまいますからね。」
『ありがとうございます…!』
私はステージの片付けを終わらせて出口に向かうバーボンさんの背中を追いかける。
すると、バーボンさんが思い出したように口を開いた。
バ「そういえば…あなた、タバコは吸っていますか?」
振り返ったバーボンさんに、私は首を横に振る。
『いえ、私は吸えないので…』
私がそう言うと、バーボンさんは何か納得したような表情で、そうですか、とだけ言った。
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mf12mfc(プロフ) - 続き楽しみにしています! (9月27日 0時) (レス) id: 77539e2974 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 面白かったです! (6月1日 1時) (レス) @page50 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
ラビィ(プロフ) - ゆさん» まだまだ皆様の想像とは誤差が生じているかもしれませんので、これからなるべく原作のジンを目指して書いていこうと思います!頑張ります! (5月28日 22時) (レス) id: 339bc50a01 (このIDを非表示/違反報告)
ラビィ(プロフ) - かるぴんさん» ありがとうございます!更新のペースを落とさないよう、努力します! (5月28日 22時) (レス) id: 339bc50a01 (このIDを非表示/違反報告)
ラビィ(プロフ) - ひめちゃまさん» ありがとうございます!より素敵な物語を書けるよう頑張ります! (5月28日 22時) (レス) id: 339bc50a01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ラビィ | 作成日時:2023年5月7日 17時