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「また明日!」


友達に手を振り校門のところで別れると、私はスタスタと歩き出す。

__最悪。
こればかりはどうしようも無いが、私の所属しているバトミントン部と 彼のいるテニス部の終わる時間が被ってしまった。
前だったら、喜んでたのに。
今は……なんか複雑。


「なぁ」


後ろから声をかけられ、肩を震わす。
え、なんで君なのさ。


「どうしたの、仁王くん」


私がそう聞くと、しれっと横に並んで歩き出す彼。いや、本当にどうしたの。
クラスは同じものの、話したことなんてない。だって彼は休み時間の度にふら〜っとどこかに行っていて、授業は受けさえするがを真面目に先生の話を聞いている方が珍しい。


「お前さん、なんでブン太の告白を断った?」

「……さぁね」

「言うつもりはないって事か」

「うん。もう傷つきたくないし」


私がそう言うと、仁王くんはなぜか不思議そうな顔をした。
そしてそのまま 「じゃ、俺こっちやき」と右方向へ歩き出した。
別れる直前、「暗いから気をつけんしゃい」と頭を撫でる仕草が自然すぎて怖い。流石とでも言うべきか。


まぁ、特に何事も無く家にたどり着いた私は鞄を置きお風呂へと直行する。
汗をかきベタついた体をスッキリさせたかったからだ。
髪を洗い終わり、顔を洗おうと目を閉じると、あの時の丸井くんの顔が思い浮かぶ。

"付き合ってください!"

声まで聞こえてしまって、私は思いがけず目を開けると、案の定 泡が目に入り慌ててシャワーをかける。

「いったぁぁあ……」


__まだ好き。
結局 彼のことが好きという事実は変わらない。
あの告白を断ったのは正解なのか、私にはまだ分からない。でも、今の私は……

彼からの告白を求めている。
嘘じゃない、本当のそれを。

一日中 私の頭の中の大半を占めている彼に、この気持ちは伝わっているのだろうか。


「叶わない、よね……」


そうポツリと呟いた言葉は、シャワーから流れる水と共にどこかへ消えてしまった。




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桃花(プロフ) - 続きが気になる… (2022年11月17日 19時) (レス) @page15 id: 45cbc35a1c (このIDを非表示/違反報告)
菜乃花(プロフ) - におーさん» ありがとうございます!ゆっくりすぎる更新ですがお楽しみください(≧∇≦) (2020年8月9日 18時) (レス) id: daee79e034 (このIDを非表示/違反報告)
におー - ブンちゃん最高!更新楽しみに待ってます(((o(*゚▽゚*)o))) (2020年8月9日 11時) (レス) id: ee24a57219 (このIDを非表示/違反報告)
菜乃花(プロフ) - はるさん» ありがとうございます、励みになります(>_<) (2020年1月13日 10時) (レス) id: daee79e034 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 続き気になります…! (2020年1月13日 9時) (レス) id: 2a82e997d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なのか | 作成日時:2019年12月16日 14時

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