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「……何これ」
朝日を浴びながら短刀の皆とラジオ体操をしてやっと動き始めた脳に、ビリビリと衝撃が走る。
寄せられた一通の手紙には、私の命の危機を知らせる文が綴られていた。
【近いうちにあなたを殺しに行きます】
送り主なんて、文字を見ただけでわかる。
……なんでなの、国広。
「だが、一文だけにこんな大きな紙を使うとは思わない。……不可視インクか？」
「ふかしインク？」
「特定の処理を施さないと見えないインクだ」
あ……そういえば、この前テレビで見たかも。
脱獄の方法をこっそり伝えるために、見えない文字で手紙を書いていた、っていうやつ。
「大将、この手紙 少し預かるぞ。色々試してくる」
「私も行っていい？」
「おう、いいぞ」
薬研の部屋に向かう途中、私は本丸に張ってある結界の力を強くし、式神で周辺を警備させる。
本当に伝えたいことが分かるまで、何があってもすぐに対応できるように。
「その液体は？」
「酸性の水溶液と塩基性の水溶液だ」
薬研は2つのビーカーに入ったその液体を混ぜ合わせると、スプレータイプのボトルに移す。
「よし、吹きかけるぞ」
そう言って、展開液をシュっと吹きかける。
……何も出てこない。
「文字を出す方法は、何個くらいあるの？」
「あと２つだ。次は紫外線をあてる」
紫外線なら外に出ないと、と思い部屋から出ていこうとすると、薬研から声が掛かる。
「大将、外に行く必要はない。紫外線らいとがあるんだ」
机の中をガサゴソと漁りながら言われる。
……便利な世の中になったよなぁ。
しばらくして、薬研の手に握られた黒いライトから出る光を手紙に当てるが、文字は浮き出ない。
「あとは炙り出しか」
そう言ってロウソクに火をつけると、紙が燃えないように慎重に炙っていく薬研。しばらくすると、茶色い文字がうかびあがってきた。
「やっぱりな」
はい、と手紙を渡されると、私は内容を2、3回繰り返し読む。
【ごめん。
今度皆で貴方の本丸を攻めに行きます。
こうなったのは俺の責任だから。ごめん。本当にごめん。
殺すのはAじゃないことだけはどうかわかって欲しい】
「意味が分からない」
……私を殺さないのなら、なんでこっちの本丸に攻める必要があるの？なんでこんな事になったのは国広のせいなの？
＿＿なんで？
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作者名：なのか | 作成日時：2019年10月6日 18時
