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【国広、大丈夫？何かあったら言ってね】
Aからの手紙を読んで、すぐに棚の奥に隠している箱に収納する。
＿＿初めは嬉しくて、沢山手紙を書いていた。
でも、今の主に気づかれないようにするには、やっぱり頻度を減らすしかなくて。女性は勘が鋭い、って言うから。
「堀川くん、少しいいかな？」
襖越しに声が聞こえ、慌てて棚の戸を閉める。
そして、ガラガラと部屋の仕切りを横に移動させると、笑顔で返事をする。
「今日の晩御飯のことなんだけど」
と話し出す燭台切さんに顔だけ向けると、またすぐにAの事を考えてしまう。
僕のヒーローなんだよなぁ。
＿＿助けが必要な時はまた呼んで、すぐ駆けつけるから。
その言葉は、僕にとって希望になった。
あんなにひどい扱いしたのに、なんでAは僕らを気にかけてくれるんだろう。
あの笑顔を奪ったのは、僕らなのに……。
「堀川くん？」
ポンっと肩を叩かれ我に返る。
慌てて謝ると、燭台切さんは眉をひそめて一言。
「……何か隠してないかい？」
「え？」
少し驚いて目を見開くと、ため息をつかれ、微笑される。
「堀川くんがそんな表情するの、久しぶりに見たよ」
「表情……？」
僕は自分の顔をぺたぺたと触る。
どんな顔をしていたんだろう。
「Aちゃんのこと……かな？」
あまりに あっさりと言い当てられ、先ほどよりも大きい驚きが顔に出てしまう。
フッと笑った燭台切さんは、優しい口調で話し始める。
「彼女の事は言わない、って掟みたいになってるけどさ。……戻ってきて欲しいね」
「……戻ってきてって言ったら、Aはどうすると思いますか？」
「うーん、それは分からないな。でも、僕らにとっても向こうの刀剣達にとっても、ベストを尽くしてくれると思うよ」
……そうだ、それがAなんだ。
片方だけじゃない、双方が幸せになれる方法をとってくれる。
少し晴れた気分で、燭台切さんと夕御飯の話に戻る。今日は、僕達にとって思い出のメニューに。
「じゃあ、買い出しに行ってくるよ」
そう言い部屋を出ていった燭台切さんの後をついて行き、門のところまでお見送りする。
「また一緒に食べられる日が来るといいね」
僕は大きく頷いた。
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作者名：なのか | 作成日時：2019年10月6日 18時
