５３ ページ4
「俺が調べたところによると、主が元いた本丸……」
続く言葉はなにか、と固唾を飲む。
「ブラック本丸になりかけてるぞ」
「……は？」と清光と言葉をかぶせ、目をぱちくりと瞬かせる。
私は衝撃の一言に頭を抑える。
「待って理解が追いつかない」
「もっと詳しく説明してよ、薬研」
みんなは今、助けを求めてる？
国広は？また傷つけられてる？
「それ、どこで知ったの？」
「刀剣達の間でサイトがあるんだ。そこに主のいた本丸の住所から“ブラック本丸化してきている”と書き込みがされていてな」
「さいと？初めて聞いた」
刀剣達がサイトを利用しているだけで怖いのに。
その情報は怖すぎる。
そして薬研がそんなサイトを見ていたのも怖い。
怖いの三銃士。
「刀剣達が助けを求める時に利用するサイトだな」
「…………なんでかな」
私はため息混じりにポツリと呟く。
2人にも聞こえてたようで、視線が集まるのが分かる。
「私、頼りない？……なんで私に最初に言ってくれないんだろう……」
そんな助けてくれるかも分からないサイトに書き込むくらいなら、私に言って欲しかった。
助けられる可能性があるのなら、私はすぐ本丸に駆けつけることが出来るのに。
「主……」
2人は今、どんな表情で私のことをみているのかな。
2人は今、どんな心情でそこに居るのかな。
そんな事を考えても、私には本当のことはわからない。
＿＿皆の気持ちも。
国広との文通は未だに続いている。でも……
前よりか頻度が少なくなっていったその回数に比例するかのように、書かれている内容も少なくなっている。
……手紙を書く余裕が、ないのかな。
「とりあえず、俺が出来ることはする。＿＿大将」
いつもより、少し強めに呼ばれ、思わず身構える。
力強い視線に釘付けになる。
「安心しろ。大将の刀は強いだろ？……大丈夫だ」
優しい笑みに気持ちがスっと楽になる。
……そうだ、私の刀は強い。
いつだって私が言ってきた“笑顔を武器に”。
みんなが笑えている間は、まだ大丈夫。
私の大切な笑顔の花たちを枯らすようなことをしたら、絶対に許さない。
「私、頑張る。皆を救えるように。それで……前の本丸で、逃げないで、ちゃんと居場所作れるように」
「うん……主なら出来るよ」
「大将、応援してるぞ」
2人の言葉に、私は力強く頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：なのか | 作成日時：2019年10月6日 18時
