金の天使と黒橡の皇 (ページ11)

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　最初の服屋でそんなことになってしまったので、後の店では気をつけようとミヒャエルは心に決めた。

金の面では男はあてにならない(金はある)ことが分かったので、自分がしっかりしなければと思った。

「値段なんか気にするなよ？」

「……ん。」

　そんな様子が男にも伝わったのか、次の店ですぐにそんなことを言われてしまった。

子供が一丁前に気を使うなと言う言葉とともに、ミヒャエルが本当に気に入っていたものを掴んでカゴへ投げ入れる。

　もしかしたら、この男は人の心が読めるのかもしれないとミヒャエルは思った。

けれど、本当に人の心が読めるなら、ナンパしてきた女に対して道案内をしようとするはずがないので、違うと確信した。

　女はミヒャエルの存在に気づいた途端に興味がなくなったのか離れていったが、ミヒャエルの隣に立つどこかふわふわとした男は、その背中を見て道が分かったのかどうか未だに心配していた。

もしかしたらアホなのかもしれないと、ミヒャエルはクレープを齧りながら男を見つめた。

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