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「あっ、すみません。」
丁度時計を確認していて下を向いていたので、頭を強く相手にぶつけてしまった。思わず、反射のような形で謝罪の言葉が口から零れる。
顔を確認するべく頭を上げようとした瞬間に、帝襟はふと思い出した。
ここは監獄内でも一部の人間──特に、絵心と帝襟、そして依岡しか出入りしないはずだ。絵心は先程の部屋でカップ焼きそばを啜っているし、依岡は日中は他の選手と同じメニューをこなしている。
じゃあ、(コレ:・・)は一体──?
帝襟が顔を上げきる前に、眼前のソレは激しい叫び声を挙げて蠢き出した。
その強烈さに耐えきれなくなり、目を瞑って小さくかがみ込む。視界が無くなったことにより、一層強く感じられる奇声に耳鳴りがした。
そのまま暫く固まっていたが、いつまで経っても何も起こらない。数秒かけて残っていた余韻も消え去った頃、目を開きゆっくりと顔を上げれば、先程の怪異は綺麗さっぱり消え去っていた。
その代わりと言っていいのか、この場にいないはずの依岡がそれが居た少し先に立っていた。
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作者名:susu” | 作成日時:2023年4月15日 14時