よそみしないでキスをして【赤】

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『おねーさん、お茶でもどう？』


「すみません、急いでるんで…、
…ぁ、のんちゃんか」


小瀧「なんでそんな残念そうな顔すんねん」


「してないよ」





私の隣に並ぶのんちゃんは私より遥かに背が高い。

長い足を小さく広げて、私の歩くスピードに合わせてくれてる。

上を向くと茶色のふわふわした髪の毛が揺れてる。

チラ、とみえるピアスはキラキラ光っててのんちゃんみたい。

……大毅くんと、全然ちがう。

大毅くんは髪の毛は染めてなくて黒のままで

ピアスも開けてない。


本人は興味ないだけ、って言うてるけど

それが無意識のうちに女の子を呼び寄せてるんだと思う。





小瀧「しげのことで悩んでるやろ？」


「べっ、べつに、………悩んでないよ」


小瀧「じゃあなんでそんな浮かない顔してるん？」


「…してないよ、のんちゃんの見間違い」




そんなわかりやすい顔してるのかな、

自分の中じゃ平常心を保ってるつもりなのに。




小瀧「ま、言いたくなったらいつでも聞くから。俺今日バイトやねん」


「…うん、ありがと。」




私の頭をポンポンと撫でたのんちゃんは歩く速度を速めた。



「のんちゃん
…バイト、頑張って！」






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