よそみしないでキスをして【赤】

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かみちゃんとの電話は楽しくて心地がいい。

話題を作ってくれるから話も尽きずに、
コロコロと展開を変えて動き回る。




神山『2時間以上電話してるで』


「そんなに経つんや、全然気付かんかった」


神山『俺も。ごめんな、暇つぶしに付き合わせて』


「楽しかったから結果オーライってやつですよ」




時計の針を見てみると帰ってきた時間から随分と経っていてほんまに気づかんかったなぁ。




神山『……なぁ、綾瀬』


「ん？なに〜？」


神山『あの日、…綾瀬が、しげを振った日に俺が言うたこと覚えとる？』


「覚えてる、よ」


神山『どうしても辛かったら俺んとこ来て、って』




あの日が頭の中に過る。

雨が降ってて、
私は公園にいて、傘もさしてなくて
大毅くんに電話をかけて別れを告げた日。

かみちゃんに抱きしめられて言われた、言葉。





神山『ほんまに辛くない？』


「辛くないよ」


神山『たまに不安になるねん、綾瀬が俺の知らんとこで1人で苦しんでるんじゃないかって』






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