よそみしないでキスをして【赤】

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「お待たせしました」




みんなはもうご飯を食べ始めてて、

かみちゃんに「こっち」と誘導される。

ここの人たちに出会えたのもぜんぶ、

大毅くんのおかげなはずなのに。





小瀧「今日もしげ来ないんか、」


藤井「最後に来たのいつ？」


桐山「綾ちゃんもちゃんと言うたり？」





みんなが口を揃えて言う彼の名前。

ここの人たちはみんな私のことを「綾ちゃん」って呼ぶ。

名字が綾瀬だから「綾ちゃん」。

でも大毅くんだけは特別で、

いつもえくぼをくっきりと出した笑顔で

「Aちゃん」って呼んでくれていた。

最後に呼んでくれたのは、いつだった？





「……うーん、迷惑やったら嫌、だしなぁ、」


濱田「迷惑ちゃうやろ！」


中間「俺やったら嬉しいわ」


神山「彼女がいることの有り難みを知るべきや」





曖昧に頷いて返したけど、

多分、いや確実にここの人たちは知らない。

大毅くんが私より他の女の子を優先してることを。

そして私もまだ、

それを受け入れられないんだ。







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