よそみしないでキスをして【赤】

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でもそんな都合よく現実が進んでくれることはない。

携帯をチラ、と覗き込んだ大毅くんは少し頬を緩めた。





重岡「ごめん、ちょっと、」


「うん、……いってらっしゃい」


重岡「いってきます、」





携帯を握りしめる瞬間に見えた知らない女の子の名前。

「行かないで」とお願いしたら大毅くんはどうするのかな。

私は、嫌われちゃうだろうな。

嫌われたくない、

だからいつまでも素直になれない。


女の子といるのはやだ、
他の子を優先しないで欲しい。

でも別れたくないのは間違いなく好きだからで

まだ浮気と決まったわけじゃないから。


もしかしたらなんもないかもしれない。

女の子と全部済ませたって決まってない。

ただ、首に赤い印があっただけ。





神山「綾瀬」


「かみちゃん、…遅かったね」


神山「途中で後輩に捕まっててん」


「さっすがモテ男」


神山「モテてないわ」





窓から見えた大毅くんと他の子の姿。

胸が痛くて苦しくなるのを無視してかみちゃんに目線を向けた。


……いたいよ、くるしいよ、

大毅くん。





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