空 白 ラ ブ レ タ ー (緑)

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『ほんなら、森戸ちゃんのほう一口ちょうだい？
俺の食べかけをあげたってことになるやろ？』

「ならないと思う」

『まぁまぁ、小さいこと気にせんとこ？…はい、ください』



そう言いながらクレープを一口食べた神山くんは
「あ、間接キスやん」と楽しそうに笑っていて
頭の中で神山くんの言葉にエコーがかかる。

…か、間接キス、とは…

クラスで人気の男の子と買い出しで、間接キス…
え？少女漫画だよ、この流れは…



『なにフリーズしとんの？あ、間接キス無理やった？』

「いっ、いや？そういうわけじゃ…」

『もしかして照れとる？
森戸ちゃんこういうの無縁そうやもんなぁ』

「いまわたし、貶されてる？」



「貶してないって」と言いながら笑う神山くんは確信犯。

沸騰しそうなくらい熱くなった頬に手を当てて
クレープを一口かじった。

間接キス、普通にやっちゃうって
女の子として見られてないっていうことだよね…



『ごめんって。なんか妹みたいで
森戸ちゃんにはそういうことできるねん』

「い、妹…」



やっぱり同い年の女の子として見られていなかったのか。
私だけが意識して、なんかすこし馬鹿みたい。

口を大きく開いて自分のクレープにかじりつく神山くんを盗み見しながらそう思う。

それでも好きだからしょうがない。





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