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｢……あかあ、……け、京治、に、木兎さんや木葉さん達よりも先に、1番におめでとうって伝えたかったからだよ。｣
歯切れは悪いが、自分なりに一生懸命京治に伝えた。
自分の中で京治がどれほど大切な人なのかを。
｢かっ、、……彼女と、してっ！！｣
そう、付き合ってから初めて迎える彼氏の誕生日。
これだけは、この日だけは、絶対誰にも譲りたくなかったのだ。
｢…………｣
うっ、沈黙が辛い。
…やはり、調子に乗りすぎてしまっただろうか。
初めて付き合った彼氏の、初めての誕生日だからと、浮かれすぎてしまっただろうか。
｢ご、ごめん、京治。ちょっと調子乗りすぎた。｣
｢っ、違う！！！｣
抱きしめられたのだと、すぐにわかった。
彼の制服からする、柔軟剤の香りが鼻をくすぐった。
キスもまだ、片手で数えられる程度しかしていないから、正直言って照れる。
え？さっき自分から抱きついてたじゃんって？
いやいや、さっきのは自分からだったし、驚かすことを目的にしてやったから、こういう面と向かったのはまだ少し慣れていない。
ちょっとだけ紅くなりながら聞き返す。
｢違うって、何が？｣
彼に抱きしめられているから、顔が見えない。
｢その、全然調子乗ってるとか思ってないし、てか寧ろその逆で……｣
？？？
彼の言いたいことがよく分からないが、迷惑だと思われていないことは分かり、安堵する。
モゾモゾと動き、彼の顔をチラリと覗く。
｢っ！！今、見ないで。｣
しかしすぐに気付いた彼に、その大きな手で目を隠されてしまった。
けれど、ほんの一瞬だけ彼の顔が見えた。
その顔は、今の私の顔よりも数倍紅くて………。
｢え、え？？？｣
更に意味が分からず困惑する。
｢っ、だから！｣
12月の早朝。
彼の開いた口から白い息と共に出た心地のよい声が、私の耳から脳内へと染み渡っていった。
｢……その、嬉しかったんだよ。Aがそんな風に考えて、慣れない早起きまでして、俺に一番に伝えに来てくれたことが。｣
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作者名：かるきの | 作成日時：2016年12月5日 20時
