【完】おやすみのキス【夏油傑】【呪術廻戦】

眠 ページ1

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『……おやすみのキス？』

夏「うん。私の妹はそれでぐっすり眠ってしまうよ」

『へぇ…』



同級生の夏油傑が、不眠症に悩む私にそう言った。

不眠症に効くと言われているものを試してみるがいつもの如く効果はなく、今夜もまた眠れずに何度見たか分からない夜空を眺めていた日の事だった。




夏「一種のまじないのようなものだね」

『まじない……呪いってこと？』

夏「んー、どうだろう。もしかしたら私の呪力が眠らせているのかもしれないよ」

『………』



この話が本当なら凄い。
夏油は私より遥かに呪力も多いし、もしかしたら本当にそういう効果のある力を持っているのかもしれない。



夏「………試してみる？」

『……いいの？』

夏「もちろん。眠れないと身体も怠いだろう？」

『……うん』







深夜の静かな廊下を歩いて自室へ戻る。
いつもなら一人のこの道も、今日は二人だからかなんだかむず痒い。




部屋に着き、布団に入って目を閉じる。
すぐ近くに夏油の気配がして、心做しか自身の脈が早くなるのを感じる。



夏「……いい？」

『……うん』





小さく返事をすると訪れたのは少しカサついた、それでいて温かいものだった。


うっすら目を開こうとすると、彼の大きな手が私の視界を覆う。







夏「………おやすみ」






近くにいるはずなのに少し遠くで聞こえたその低音は、私の耳から脳を通ってストンと胸に落ちた。


それが分かった時、私の意識は既にそこには無かった。

れ→

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