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逃げたのです ページ26







「痛かっただろう」


「………先生……」





煉獄先生。


Aにはそれしか言えなかった。

いっそ今ここで伝えてしまおうか、そう思ってもただ虚しいだけだった。



窓辺に二人、ヒラヒラと桜が通り過ぎていく





「………山城」


「先生、こんな所にいていいんですか」





煉獄は少し驚いた表情を浮かべた。



Aは下を向き、彼の胸を押し戻した。

煉獄をこの場から帰そうとしただけだった。





「……待ってる人が、いるんじゃないですか」


「待っている人……?」





余計な事だと分かっていた。
それでも止められなかった。

こんなに心が暴れるのは初めてだった。


Aは声を震わせ、拳をぎゅっと握りしめた。





「先生を、待ってる人がいるんじゃないですか。私なんかより、はやくその子の所に行ってあげてください」


「待て、なんの話しだ」


「先生は……っ」





他に好きな人ができたんでしょう?





その言葉に、煉獄は学生時代の事を思い出した











____その日。



煉獄は残り少ない登校日の中、なんとかAを呼び出そうとしていた。



しかし毎回運悪く、時間割の違いでまったく会うことができない。


他学年の階に長居しすぎると冨岡が指導に来てしまう。





「……移動教室か?」





まばらに出入りする後輩生徒の中にAの姿はない。


今日を逃せばもう会うことすら難しくなる。


予鈴の時刻が迫り、煉獄はかなり焦っていた。
そこへAといつも一緒にいる友人が教室から出てきた。





「すまない!少しいいか?」


「えっ!わ、わたしですか」


「あぁ、君はいつも山城と一緒にいるだろう」


「……いつも………いや、まぁ……はい」


「一つ頼みたいことがあるんだが」





今日放火後、美術室下のサクラの前で待っている。




___予鈴が鳴った




ガヤガヤと生徒達が行き交いする。





煉獄は、確かに伝言を頼んだ。

「忘れる」という事で→←あの時わたしは



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塩じゃけ(プロフ) - モカァコさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(泣)コメントを下さるだけで十分お気持ちは伝わっておりますよ( ´ ` *) (2020年1月2日 12時) (レス) id: a1c423deca (このIDを非表示/違反報告)
モカァコ - すごく面白いです!やっぱり表現の仕方がめちゃくちゃ好みです!なんだか見てる訳でもないのにその場の想像ができます!私は語彙力が無いですねwww (2020年1月2日 10時) (レス) id: c6bb044a72 (このIDを非表示/違反報告)
塩じゃけ(プロフ) - あやのさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて画面直視できませんでした(笑)実際、書く際によく意識する事だったので本当に嬉しかったです。ありがとうございますm(*_ _)m (2019年12月31日 1時) (レス) id: a1c423deca (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 塩じゃけさんの小説は何か引き込まれるようなものがあってとても好きです!    特に煉獄先生が桜を見ている描写などは実際に自分もそこにいる気がして読んでいてとても面白いです! 応援してます! (2019年12月30日 23時) (レス) id: ec8abc2a53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩じゃけ | 作成日時:2019年12月1日 22時

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