きっと、幸せ (ページ9)

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■ ページ9

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元木side

その言葉は、俺の想像を遥かに超えていた

「なぁA、これ...」

昼休み、なんとか彼女を連れ出して入った空き教室で触れたそこ

申し訳程度にしか巻かれていない短いそれを解けば、絆創膏から少しはみ出して見えるその傷

言葉で聞くより目の当たりにした今の方が、鈍器で思いっきり殴られたみたいな衝撃に襲われた

「なんで、...」

彼女の手首を掴んだまま小さく零れた言葉は、しっかり届いたようで

ずっとそっぽ向いてた彼女は涙目で俺を睨んだ

『なんでって、湧がいけないんじゃん！』

『女の子と出かけてた湧のせいだよ！！私何も悪くない！！』

叫びと共に零れた涙はどうしても綺麗で、無意識に伸びた手は彼女によって払われた

『湧は...湧はやっぱり私なんて好きじゃないんでしょ...？！』

...あぁ、どうしてこんなに伝わらないんだろう

こんなにも好きで、大切で、離したくないのに

しゃがみこんだ彼女を優しく、だけど強く抱き締めた

「...ごめんな、ほんと、ごめん」

きっと、言葉なんかじゃ限界があるんだ

彼女にとっては気休めにしかなってなかった

ごめんな、気付いてやれなくて

今度こそ触れた彼女の頬
次から次へと溢れ出るそれは俺の手では拭いきれない

ゆっくりと押し倒した床は、ここちゃんと掃除してんのってくらい汚れてたけど、もうどーでもいいや

目尻に唇を這わせればやっぱりちょっとしょっぱくて、だけどそれすら愛おしい

「......愛してる、」

言葉だけじゃないそれが、昼休みの教室に響いた