きっと、幸せ (ページ24)

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『学校行きたくない...』

ほらね？ずっと隣にいるなんてできっこないんだ

中学2年生、春

彼女と初めてクラスが離れた

「そんな事言わないでよ」

『だって私、翔馬が居ないと...』

小学生の時、友達と喧嘩して泣かせてた気の強い彼女はいつの間にかどっか旅立ってしまったようで

代わりにやってきたのがこれ。

隣に居すぎた？甘やかしすぎた？

まぁ、今更遅いけど。

「すぐ隣だから。行き帰りも一緒だし、休み時間も寂しくなったらいつでも来ていいから。」

新学期が始まったその日、今にも泣き出しそうな彼女にそう言えば力なく頷いてオレのとは違う教室に入っていくその背中は

今までで1番小さくて儚く感じた

まぁ結局、隣の席になった男の子が話しかけてくれて仲良くなって

そのまま付き合うことになったのだけど。

ほら、やっぱりずっと隣になんて居られないし、居る必要も無いんだよ

「平塚はあの子のこと好きじゃなかったの？」

彼女の代わりに毎日一緒に居るようになった湧に言われたその言葉

そんなこと聞かれたの初めてだったし

"好き" なんて気持ちを彼女に感じたことは無かったけど

多分、そのくらいには彼女の存在は大きくて

"トクベツ" なんてちょっと大人ぶったその表現を口にしたオレは

彼女の隣に並ぶオレじゃないその背中に違和感を感じて

「A！明日家行ってもいいー？久しぶりにおばさんのご飯食べたい」

勝手に動いた体は廊下へ向かって、勝手に動いた口に隣の男は顔を歪ませた

「......平塚、バカじゃん」

これがオレたち "ふたり" の出逢い＿＿＿