きっと、幸せ (ページ13)

今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:60,304 hit

■ ページ13

*

「やめろって！！」

床に転がった音は、あの日と同じだった

『何すんの！離して！返して！！！』

「無理に決まってんだろ！」

無機質なそれに涙でぐちゃぐちゃな顔で必死に手を伸ばす彼女に、頬を伝うのはオレ自身の涙

カオスすぎるこの状況は、間違いなくオレら自身が造り上げたもの

「A、お願いだから...！！！」

彼女を抱きしめるのは、もはやオレの癖なのかもしれない

すっぽり収まった体は依然震えていて

おろしたての白いパンツには似合わない紅が模様を作っていた

そんなことはもう、どうでもいい

抵抗するのを諦めた彼女は、そのまま1時間泣き続きた

オレはやっぱり抱き締めることしかできなかった

オレのブルゾンをギュッと掴む手も
サラサラな髪の毛も

やっと上がった顔、腫れてしまったその瞼も

妙にオレの心をザワつかせた

気持ち悪い、この得体の知れない感情は何なんだろう

『...なん、で、...いつもいつも、翔馬なの......』

「......ごめん、」

やっと発した彼女の言葉
似たようなこと、前も言われたな

でも仕方ないじゃん、Aを追いかけちゃうのは
きっとオレの本能なんだ

何があったの、なんてもう聞かない

そんな野暮な質問は彼女をまた苦しめるだけ

そうでしょ？

『翔馬...？』

「...なに？」

あぁ、我ながら白々しい

その先の言葉くらい、分かってんじゃん

『私のこと、』

「愛してあげる」

ごめん、湧

でももう、いいでしょ