ウヌボレくん？ 2 (ページ6)

今日:7 hit、昨日:32 hit、合計:157,894 hit

47 ページ6

*

時刻は5時半

私は1度自分の部屋に戻って荷物だけ置くと、スーパーの袋片手に彼の部屋へ向かった

階段を上ってすぐの部屋、チャイムを鳴らすけど反応が無くて

やっぱり寝てるのかもしれない、起こしたら申し訳ない、そう思い踵をひるがえそうとした途端

ｶﾞﾁｬﾝ、と音がして扉が開いた

「...え、A？」

『あ、良かった起きてたんだ』

「あー、うん...どうしたの？」

『いや、平塚くんにお見舞い行ってあげたらって言われて...メッセージも送ったんだけど、』

そこまで言ったところで私の目にはあるものがとまって

『...お母さん、来てるの？』

玄関にはあからさまに女物の靴が置いてあって、そう尋ねる

「...あー、いや、」

『それなら安心か、ごめん、ちゃんと返信待ってからこれば良かったね』

じゃあお大事に、と急に恥ずかしくなってその場を去ろうとした時

耳に届いた声は、お母さんにしては若すぎて

「湧ー？誰来たの？」

その声の持ち主と目が合った

苦い顔をする湧くんなんて目に入らないくらい、頭は真っ白で、体も動かなくて

時が止まったみたいだった

「あれ、どっかで見たこと...」

部屋の中から聞こえる彼以外の声にふと我に返り

私は何も言えないまま彼に背を向け走った