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元木side
その後アイツはなにかする訳でもなく、俺の部屋に居座った
あんな事を言われてしまった手前、追い出すことも出来なくて
だからと言って話なんかしたくもないから
ただただ2人で無言の時間を過ごした
気付いたら俺は眠ってしまっていたようで、目覚めた時には夕方の5時半
体を起こした俺に気付き、突然立ち上がったアイツは
椅子に座る俺に近付いてきた
"ねぇ湧？"
"私のこと、もう抱けない？"
"...は？"
それだけ言うと、アイツは聞いてもいない今カレとの話をベラベラとし出して、俺のイライラは募るばかり
"...何が言いたいわけ？"
俺がそう問えば、アイツは他の男ならコロッと落ちてしまうんじゃないかってくらい妖艶な笑みを浮かべて言ったんだ
"湧が恋しくなっちゃった"
その瞬間、来客を知らせるチャイムが部屋に鳴り響き
俺は逃げるように椅子から立ち上がる
だけど、ひんやりとしたアイツの手が俺の腕を掴む
あぁ、これじゃない。
俺が欲しいのは、この血のかよっていないような冷たい手じゃなくて
あの、優しくて温かい彼女の手と、純粋な笑顔
俺は無言でその手を振りほどくと、玄関に向かった
その先に誰が立ってるかなんて、考える余裕はなかったんだ
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作者名：きい
| 作成日時：2020年12月19日 15時
