『距離感』Ⅱ (ページ46)

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「Aまだー？」

『もうちょっと待って！！』

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あれから半年、私たちは人生最後の夏休みを迎えていた

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有難いことに、既に内定を頂き、大学の単位も足りているから後はもう卒業を待つのみになっていた

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「ねぇ遅い！飛行機出ちゃうよ？！」

『それはまだだから！大丈夫だから！ちょっと黙って

元太！』

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彼との関係は、ちょっと長く居すぎる幼馴染に戻っていた

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"おはよ、A！"

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あの春休み明け、元太は以前と変わらずそう私に声をかけてくれた

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やっぱり一生元太には敵わない。

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「やべ、俺飛行機初めて！」

「俺も。」

『私もだよ、どうしよう緊張する』

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兄の休みに合わせ、私たちは3人で初めて海斗の住む北海道へと向かった

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何度もビデオ通話はしているけど
やっぱり直接会うのは別物で

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「Aは飛行機よりクラに会うのに緊張してんでしょ？」

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兄にドンピシャで当てられてしまった。

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「北海道だぁぁぁ！！！！」

「フォーーーー！！！」

『うるさ...』

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無駄にテンションが高い2人を置いて、私は待ち合わせの場所へと足を進めた

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「A！」

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さっき緊張してたのがバカみたい。

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私は彼の姿を見つけると、その距離を埋めるように一気に走り出した

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『海斗！』

「ようこそ、北海道へ。」

『ふふ、なにそれ』

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同じ空間で2人で笑い合う、そんな時間が幸せ。

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「好き。会いたかった。」

『うん...私もだよ。』

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"幼馴染み" という型にハマっていた "距離感" は

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その瞬間、形を変えて
私たち2人を優しく引き寄せた＿＿＿＿＿＿

『距離感』 end