『距離感』Ⅱ (ページ44)

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兄にお礼を言い、急いで空港内へと入る

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きっと搭乗口の近くにいるはず、と北海道行きを探し私は走った

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広い空港の中、方向音痴の私は少し彷徨いながら何とか近くまで辿り着き周りを見渡すと

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『ﾊｧ､ﾊｧ...いた...』

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そこには見慣れた後ろ姿、そしてちゃか先輩がいた

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ちゃか先輩は私と目が合うと元々パッチリとしている目を大きく見開いた

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そして、ここまでは聞こえないけど何かを話すと、今度は海斗がこちらを向いて

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ちゃか先輩よりも、大きく目を開いていた

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今の私たちの距離は多分30mくらい

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いざ海斗を見つけたら、私はどうしたらいいか分からなくてその場を動けなかった

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すると、海斗に手を振ったちゃか先輩がこっちへとゆっくり歩いてきた

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「ほら、Aちゃん。いってきな？」

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そう言って、私の背中をポンと押してくれた

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『ちゃか先輩...ありがとうございます。
あと、卒業おめでとうございます！』

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ん、ありがと、と言うとちゃか先輩は手をヒラヒラとさせて帰っていった

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『...よし。』

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元太や兄だけでなく、ちゃか先輩にまで背中を押してもらったんだ

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みんなの優しさを無駄にする訳にはいかない

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私は1歩ずつ、彼へと歩み寄る

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1m、また1mと近づく私たちの距離

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『海斗。』

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その距離が2m程にまで縮まった時

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私はもう一度、彼への気持ちを伝えた

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『私、やっぱり海斗が好きです。』