『距離感』Ⅱ (ページ42)

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海斗side

俺が先に中学を卒業したあと、学校が被らない1年間は

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2人が一緒にいるところを見る機会が減って、Aの近くに居られないのは寂しかったけど、ホッとする自分もいた

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この期間に彼女への気持ちは忘れよう、そう決めた

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だけど1年後、2人は一緒に俺と同じ高校に入学してきて

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やっぱり俺だけ学年は違うから、2人でいるところは嫌でも見えてきて

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その度に自分で自分を責めた

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俺は元太に協力するって決めたのに
俺は弱い人間だ、と。

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俺が高校を卒業したその年に、元太と彼女の間に大きな距離ができたとき

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俺はどうしたらいいか分からなかった

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2人はそのまま卒業して、彼女だけ俺の大学に入学してきて

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2人で行き帰りを共にしたりサークルに行ったり

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楽しかったけど、やっぱり元太に対する後ろめたさが常に付きまとっていた。

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そんな時、彼女に告白された。

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正直めちゃくちゃ嬉しかった。

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忘れよう忘れよう、と思っていても一瞬たりとも忘れることのできなかった相手からの告白

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だけど、俺にはその告白に応えることは出来なかった

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俺もまた、彼女のことを傷付けてしまった

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せっかくの20歳の誕生日を台無しにしてしまった

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いつも通りの関係を望んだ彼女
それに応えるのが唯一の償いだと、

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俺は精一杯 "いつも通り" を演じた

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だけど、そんなのは続かなくて

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2人の邪魔をしないためだ、と自分に言い訳をして彼女から距離をとった

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後悔してもしきれない。

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あの時、ちゃんと元太に自分の気持ちを明かしていれば

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俺もAの事が好きだ

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そう伝えていれば何かが変わっていたのだろうか＿＿＿