『距離感』Ⅱ (ページ16)

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『......そ、そうだよね！急にごめんね、こんな...』

「いや...うん、大丈夫...」

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なにが大丈夫なの？なんていつもの様にツッコミそうになったけど、そんなメンタルは持ち合わせていない

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『...い、嫌だったら忘れてくれていいから！あの、今まで通り、幼馴染み兼先輩後輩ってことで...！』

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ツッコむメンタルは持ってないのに、こんなことを言ってしまう私はきっと必死なだけ

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元太のときのように、今までの関係が無かったみたいになるのがただただ嫌で怖かった

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手放したくなかった

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全て今まで通り、なんて望まないから

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せめて、その肩書きは失いたくない

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海斗に振られた今、私が思うのはそれだけだった

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「おう...今まで通り、な」

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でも、いざ海斗の口から今まで通り、なんて言われたら

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さっきの告白もキスも

全部無かったことにしてしまったみたいで

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何より、何年もの想いを否定するみたいで

苦しかった

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自分がそれを望んだかのように口にしたのに
矛盾もいいとこだ。

「A...」

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今、そんな優しく名前呼ぶのは反則だよ

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『...ごめん、もう帰るね。プレゼントもありがとう。』

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胸元でキラリと光るそのネックレスは

まるで私を嘲笑っているかのよう

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さっきまであんなに嬉しかったのに

あんなに幸せだったのに

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また、自分でぶち壊した

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私は溢れかけた涙を必死に食い止め、逃げるように海斗の部屋を出た

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バタン、と背中で扉が閉まる音

それと同時に頬を伝う涙

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外に出てしまえばもう数歩で自分の家
こんな無様な自分を誰にも見られることなく帰れる

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『え...』

...はずだった

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「...泣いてんの？」

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ねぇ、なんで...

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なんで今、私の前に現れるの...？

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『元太＿＿＿』