『距離感』Ⅱ (ページ12)

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「「「「カンパーーーイ！！！」」」」

乾杯が大好きなのであろう私の家族は
今日も今日とてコップを突き合わせた

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「はいこれ。」

『え、このブランド！高かったでしょ！いいの？』

「良くないけどいいよ、20歳だからな」

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そう、今日は私の20歳の誕生日。

私の兄は基本私に何か買ってくれることなんて無いし、過去の誕生日もお菓子1つとか、小学生か？みたいなプレゼントしかくれた事がなかったから

私も大人になったんだなぁ、なんて変なところで実感

『お兄ありがと！好き！！』

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調子いいやつ、なんて若干やな顔されたけど今日は許してあげよう

お父さんからお酒、お母さんからはパールのイヤリング

大人になった実感がどんどん湧いてくる

「いや～とうとうAともお酒を交わせる日がきたかぁ～」

飲め飲め～なんて、もう顔を赤くしたお父さん

「ダメよあなた、これから海斗くんたちとも飲む約束してるんだから」

ってお母さん。

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幼馴染みでお酒ってエモくない？なんて、兄らしくない言葉で決まった初めての飲み会

...と言っても海斗の部屋にお邪魔して3人で飲むだけなんだけど。

自分の限界は知った方がいいって言うし、兄と海斗がいるところなら大丈夫だろうと両親も快諾してくれた

兄も海斗もお酒は強くも弱くもない、まぁ人並み、ってやつらしい

とりあえず、家では少量のお酒を嗜んだ。

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『お兄行くよー』

午後8時、海斗の家に行くため兄に声をかける

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「Aごめん！！レポートの提出日勘違いしてて明日出さなきゃいけないやつ出来てなかった！！！」

やべぇ！！！なんて叫び...いや発狂しながらパソコンを開く兄

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『え、お兄馬鹿なの、何してんの』

私のマジレスに兄は返す余裕も無いらしい

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「お前だけ行ってきて！クラには謝っといて！！！」

こちらを少しも見ることなくそう言った兄に
わざと大きめのため息をついて

『頑張ってー』

と気持ちのこもってないエールを背中にぶつけた

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言い出しっぺがいないってどういうことだよ。

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...というか、初めての飲み会が海斗と2人

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お酒で自分がどうなるか分からない状態でのそれが何を示すのか

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『まぁいっか。』

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私はまだ、お酒が飲める喜びにただ浸っていた