43 ページ43
*
「私は、Aとずっと親友でいたかった」
それは、宣告だった
あなたとはもう、友達には戻れない、と
「...まさか、Aに裏切られるなんて思ってなかった、
悲しくて、悔しくて、...もう感情がめちゃくちゃで、っ」
『っ、』
私は、泣いちゃダメだ
泣く権利なんて、私には無い
ユウちゃんの震える声に込み上げる涙を必死に堪える
「...颯太はさ、私のこと、好きだった、？」
「...うん、すきだった、ほんきで」
「じゃあ、なんで...」
「それは、」
『私が、！』
突然、声を上げ立ち上がる私に、3人の視線が一気に集まった
目立つのは苦手だ
視線を向けられるのは恐怖だ
あの日を思い出して、喉がキュッと締まるような感覚
声が、出しにくい
『っ、全部わたしが、いけないの、...
ユウちゃんがいるのに、颯太くんに告白したから...全部、私が悪い、』
「それは、！」
「Aちゃんそれは違うよ」
否定しようとした颯太くんと、同じタイミングで声を出したのはあじくんだった
「Aちゃんが一方的にうっちーに迫ってたなら、多少なりともAちゃんの方が悪いかもしれない、
でも、そうじゃないでしょ？
言い方キツイかもしれないけど、浮気は同罪だよ」
...私がずっと思ってたのと同じ言葉
分かってた。分かってたけど、私が背負いたかった
『で、も...私が2人の幸せを壊したのは、間違いないから、...』
少しの沈黙が流れた
「そんなの逃げだろ」
その沈黙を破ったのは、ずっと黙って外を見ていた湧だった
驚いてそちらを向けば、大きな目が私を真っ直ぐと見つめていて、心臓そのまま掴まれたみたいだった
「そうやって、全部自分のせいにして、責められて、楽になろうとしてんだろ？
逃げだよそれは」
『っ、...』
図星だった
みんなに責められないと、この苦しみを消すことなんてできない
嫌われないと、どうしたらいいかわからない
「A、逃げんな」
...これは、あの日の告白と同じ
自分勝手だ
同じことを繰り返してしまった自分が情けなくて
黙って椅子に座れば、湧も同じようにソファに戻っていった
「.......俺、高校の時Aちゃんのことが好きだった」
『へ、？』
湧の言葉の圧に、その場には再び沈黙が流れていた
それなのに、右から聞こえてきた声は優しくて柔らかくて
言葉自体は衝撃で
間抜けな声とともに、彼を見上げた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 834人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「少年忍者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ucst0307(プロフ) - きいさん» 完結おめでとうございます！めちゃくちゃ面白かったです😭何度も読み返します！！ (2021年12月22日 0時) (
レス) id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
きい(プロフ) - ucst0307さん» お返事大変遅くなってしまいすいません🙇♂️とても嬉しいお言葉ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけていたら嬉しいです(^ ^) (2021年12月19日 16時) (レス) id: 5fec2377c4 (このIDを非表示/違反報告)
ucst0307(プロフ) - コメント失礼します。今一番楽しみにしている作品です！^ ^これからも楽しみに更新待っております♪ (2021年11月15日 0時) (レス) @page39 id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きい
| 作成日時：2021年9月25日 0時
