32 ページ32
*
Koki
あれから、何ヶ月もの時が過ぎた
街を彩っていた電飾はいつの間にか撤去され、あっという間に年が変わって、俺たちは最後の制服に別れを惜しんでいた
「光成、」
「ん？」
「...ありがとな、今まで」
何それ、永遠の別れみたい、なんて相変わらず爽やかな笑顔を向ける光成に、俺はどれだけ救われたか。
あの日以来、人が変わったように暗くなった俺にいつも通り接してくれたコイツのおかげで、俺は無事卒業できたと言っても過言ではないだろう
先輩があの店から居なくなって、母親の状態も一向に良くならなくて、何もかも嫌になった時に頼れるのはコイツだけだった
「まさか光輝が就職組とはね」
「まぁ、生きるためには仕方ないよ」
「そっか......しんどい時は、いつでも連絡して」
「...おう」
ありがと、しんどくなくてもたまに連絡しちゃうかもななんて、そんなことを思った
「......なぁ、光成」
「なに？」
「.........俺まだ、諦めてないから」
こんなに時間経っちゃったけどさ、やっぱり俺の決意は揺るがないから。
俺のその決意に、一瞬目を見開いた光成は、困ったように眉を下げた
「...そう。」
「最後まで心配かけてごめん」
でもこれが俺の長年の目標でもあったから。
これからまた、コイツには頭が上がらないなって出来事が起こることなんてこの時の俺は知らないけど、
俺の感謝も決意も全部ちゃんと伝わってればいいな、なんて自分勝手なことを思った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 321人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きい
| 作成日時：2021年8月31日 0時
