転機雨 (ページ27)

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「......もうバイトは辞めて」

『......』

いつか、こんな日が来るんじゃないかって思ってた

思ったより早くそれが来た

それだけなのに、私は動揺していた

「オレがちゃんとAのこと養うから。」

『元太...』

「だから、もう明日から行かないで」

『っ、そんな急には辞めれないよ...！』

もう既に出ているシフト分はどうなる？
店長はもちろん、他のバイトの子たちに大きな迷惑をかけることになる

大学生になってから2年半、ずっとお世話になったのに

そんな最後はあまりにも身勝手すぎる

......なんてのは建前だ

「だって明日行ったら黒田くん居るじゃん」

『そ、うだけど...でも、』

「だめ。挨拶したいなら今日行ってきて。」

あの子をこのまま、あれを最後にサヨナラなんて

心に闇を宿したあの子を放ってなんかおけない

「Aは、オレとあの子......どっちが大事なの」

何を言わない私に、彼は顔をグッと近付けそう言った

真っ直ぐな瞳はあの頃より随分綺麗になって、私を映し出した

『.........元太が大事に決まってるでしょ、？』

そう言えば、好き、と甘ったるく呟いた彼は私を引き寄せた

『......私も、好きだよ、』

それは、偽りなんかじゃなかった＿＿＿