転機雨 (ページ25)

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Koki

俺がしたことは正しかったのか

はたまた間違いだったのか......

先輩が流した涙があまりにも綺麗で、分からなくなった

「......A先輩、また、」

『うん......また明日、だね』

「...はい」

あの、半透明の傘をちゃんと差した先輩は
しっかり雨を避けて歩いていった

その後ろ姿がどこか儚くて、もう会えないんじゃないかって、何の確信も根拠もないけど不安になって

...でも、追いかけることなんてできなくて

ただボーッとその姿を見送ることしか出来ない

先輩を、泣かせたいわけじゃなかった

苦しめたいわけじゃなかった

でも結果として、先輩があぁやって涙を流し
あの彼氏を裏切ってしまったと苦しむなら

いくらアイツが同じことをしていようと先輩にはきっと関係なくて

だからきっと、俺は間違えたんだと思う

「光成、」

「なに？」

「...俺、後悔はしてない」

悩み、立ち寄った親友の家のシャワーは異様に暖かくて
なぜだか泣けてきた

「......俺、」

「うん」

「先輩のこと、何がなんでも手に入れたい」

それは俺の決意だった

間違ってたかもしれない、だったら、それを正解にするしかない

「いつでも話聞くから」

「...ありがと、光成」

きっとコイツも分かってるんだ

俺が "何か" しようとしていることも
それが決して最良策じゃないことも

俺の決意が揺るがないことも全部全部お見通しなんだ