転機雨 (ページ21)

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あの日から

あの子の好意を知った日から

初めて彼を怖いと思った日から

私は少しだけ、あの子と距離を置いた

それはあの子にもちゃんと伝わって、必要最低限の会話しかして来なくなった

「あ、先輩俺向こう行きます」

『ごめんね、ありがとう』

いえ！と笑う彼の瞳の奥は、前よりも何だか濁ったように見えて

自分の事のように苦しい

それでも、私はそれ以上に大事なものがあるから

「ただいまー」

『元太おかえり』

毎日必ず彼を迎える

おかえりと言えば優しく微笑んで優しいキスを落としてくれる

これが私の日常で、幸せで、

私の使命

「あ、A、俺明日どうしてもの用で泊まりになっちゃって」

『え、急だね』

「お世話になった先輩の誘い断れなくてさ、ごめんな？」

『そっか、なら仕方ないね』

楽しんできてね、そう言えばありがと、と抱きしめてくれる彼

あぁ、苦しいな

...ねぇ元太

＿＿＿明日は雨が降るんだって