転機雨 (ページ18)

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＿＿＿ある日突然、父親が居なくなった

『パパ遊ぼ！』

いつもの様に、帰ってきたばかりの父親に飛びついた

幼稚園の年少くらいだったかな

幼い頃の僅かな記憶だから曖昧だけど、そんな私に両親は顔を見合せ眉を下げた

「Aごめんな、パパちょっと行かなくちゃいけないところがあるんだ」

『え〜いつ帰ってくる？』

「...いつかな、でも、帰ってきたらまた遊ぼうな」

『うん、約束だよ？』

スっと父親に差し出した小指は宙を切って、ただ抱きすくめられただけだった

その日から、母親と2人っきりの生活が始まった

父親がどこに居るのか、何度聞いても母は困ったように笑うだけで教えてくれなかった

そして、そんな日々も長くは続かなかった

『...ママ？』

確かその日は雨が降ってきた気がする

幼稚園の教室の中で友達と積み木で遊んでたら、慌てた様子の先生が私を車に押し込んだ

おっきい病院の中で、母は白い布をかけられ私の声に反応などしてくれなくて、共に一人っ子だった両親と高齢だった祖父母

私を引き取ってくれる場所は施設しか無かった

私は、突然ひとりぼっちになった