思えば想うほど念う Ⅱ (ページ8)

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「ねぇ、おれもそれやる！」

『え？』

「いしんでんしんみたいなやつ！」

でも今日はちょっと違って、おれも、なんて言い出す颯太にじゃあお茶でも取ってもらおうかなとそーた、と名前を呼べば

「感じる...感じるぞ...わかった！」

と差し出されたティッシュに、まぁそれってことにするか、とお礼を言おとすれば

はい、って差し出されたお茶はやっぱり翔馬からで

『ふふ、さすがです』

「なんでぇ...」

落ち込む颯太は、何が違うの？なんで？なんて翔馬に問いかけてて

「なんかね、もの取って欲しい時は平仮名なの。
しょーまって。で、話聞いて欲しい時は漢字の翔馬なの。」

「いみわかんないんだけど！」

そんな聞き分けしてたの、私も初耳で
凄いというか怖いというか。

「何取って欲しいかは、だいたい勘」

『勘(笑)』

「99%当たる勘」

至って大真面目な翔馬と、解せないと騒ぐ颯太に

あぁ、ほんとこの2人は場を和ます天才だよなぁって
さっきまであんなに苦しかったのに今のこの時間だけは少し忘れられた気がする。

「颯太諦めろ(笑)」

「えー」

「平塚には勝てねぇって(笑)」

そんな平和空間にケラケラ笑いながらやってきた湧は、ポンポンと颯太の肩を叩いて慰めてて

じゃあ湧ジュース奢って、なんて謎のたかりをする颯太

「ふざけんな！何でだよ！(笑)」

「おれ傷ついた。もうレッスンできない。むり。」

「だー、めんどくせぇな、わかったよ！」

子供のようにはしゃぐ颯太と、渋々それについて行く湧が、あ、とこちらを振り返って

「Aはオレンジジュースでいい？」

なんて。

あ、うん、なんていつもの様に返してしまいそうになるのを慌てて抑え

『...いや、私はいいや、ありがと』

「そ？珍しいな」

そう言って颯太を追いかける湧の背中をぼーっと眺める

やっぱり昨日のあの子の叫びはなかなか耳から離れてくれなくて

湧とは、距離を置いた方がいい

そう思う他なくって

「......A、今日家行っていい？」

『え？あー、いいけど...』

珍しく翔馬から誘われたそれに、ちょっと驚きつつ
湧と距離を置くにはいいかもって

帰りにイチゴでも買ってあげようかななんて思いながらレッスンに戻った