思えば想うほど念う Ⅱ (ページ6)

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▽ ページ6

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「何してんの？！」

固く瞑った目を開け、視線を向けた先で
慌てふためくその影

『た、くみ...？』

「っ、...」

彼女も気付いたのだろう、走って去っていく後ろ姿をただボーッと見つめていればAちゃん！って

『将聖も......』

「え、大丈夫？怪我は？！」

『うん...大丈夫...』

普段、私の事なんか興味ありません。みたいな顔してる拓実がこんなに心配してくれるなんて

あぁ、今なら私死んでもいいわ、なんて

だけど、震えながら私にしがみついてる将聖を見たら、本当に申し訳なくなって、私やっぱりダメだなぁ、って

『ビックリさせてごめんね？』

「いやっ...無事でよかったです...」

『はは、ほんと将聖はしっかりしてるね』

緊張感が一気に解けて、全身の力が抜けていく

「ちょ、ホントに大丈夫？」

『大丈夫だけど、2人見たら安心して力抜けたわ』

一緒に出かけていたという相変わらず仲の良い2人は、近くのショッピングモールから駅に向かっていた最中だったらしい

「まじビックリした、なんか喧嘩でもしてんのかと思ったらAだもん」

「ホントですよ...てか、あの女の人...」

『んー、なんか、湧のファンの子みたい、(笑)』

そりゃ、私のことよく思わない人も沢山いるよね、邪魔だと思われても仕方ないよ、なんて笑ってみせたけど

2人の顔は歪んでく一方で

そんな顔しないでよ、って

「あれ、犯罪だよ。事務所の人に言った方がいい。」

『うん...分かってる』

「湧くんにも連絡した方が...」

『っ、ダメ...！！』

私の声にビクッと肩を震わせた将聖

『...あ、ごめん将聖』

「あ、いや、大丈夫です...！」

「でも、言っといた方がいいんじゃない？」

『湧たちには言わないで、拓実、お願いだから......』

自分のファンがこんなことしたなんて知ったら、きっと湧は傷付く

私のせいで、湧にそんな思いしてほしくない

『最近は、あじにちゃんと送ってもらってるの
今日はたまたま、予定が合わなかっただけだから...』

だから、もう大丈夫

そう言えば、拓実は渋々頷いてくれて2人して家まで送ってくれた

「...ホントに大丈夫？」

『大丈夫だよ(笑)
2人とも、ホントにごめんね？ありがとう。』

終始眉の下がった2人に手を振り閉じた扉の前

年下、それも中学生に、これ以上心配させまいと堪えていたものが
ポロポロと情けなく頬を伝った