思えば想うほど念う Ⅱ (ページ20)

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▽ ページ20

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「だけどさ、そんなの一瞬で。気付いたら、あの子の隣に居たい、って俺が望んで隣にいたわけ。」

そっと重ねられた手と湧の言葉は優しすぎて
涙腺がまたあっという間に崩壊してしまう

「こうやって泣き虫なところも、努力家なところも、俺のこと頼ってくれるところも、メンバー思いなところも...

全部全部、好きなわけ、」

どうしようもないくらい、好きになってた

そう言った彼の手が私の頬にそっと触れ、器用に拭われた涙

「...Aの気持ちにも、薄々気付いてた。今思えば急に髪切ったのも、俺がロング好きって雑誌で言った頃だったなって、」

そのまま愛おしそうに私の髪をそっと撫でる

「でもやっぱ俺も、この気持ちは隠してなきゃいけないって思ったから、気付かないふりしてた。

...けどさ、もう無理だわ、」

「ずっと隣に居てほしいって思えるの、きっと後にも先にもAしか居ないから」

この人は、どれだけ私のこと泣かせれば気が済むの

そんなこと言われたらさ、私も素直になるしかないじゃん

必死に隠してた想い、伝えるしかないじゃん

『...好きっ、湧が好き、大好き.....』

後にも先にも、こんなに好きになれる人は湧しか居ないんだよ

思いっきり飛び込んだ胸と首に絡めた腕に
うおっ、っと小さく声を漏らした湧はちゃんと受け止めてくれて

「Aがこんな素直なの、レアだな(笑)」

『うん...もうしばらくないかもね』

「自分で言うなよ(笑)」

少しだけ離された身体、もう一度触れられた頬にはもう涙は伝ってなくて

ふわりと笑った湧は、また優しく唇を重ねると
病人はそろそろ寝ましょうね、なんていつもの調子に戻るから

『...やだ、』

「え？」

『...もういっかい、』

いつだかもしたその上目遣いを今するのはズルいかなって思うけど

今日の私は湧が言うように素直だからさ

見上げた湧の顔は、やっぱり真っ赤で
それを隠すように再度重なる唇はどうしようもなく幸せで

「っ、これ以上はさすがに俺耐えられそうもねぇから
今日はこれで勘弁して」

『...ん、じゃあまた明日、？』

「...ばーか、」

私、今まで生きてきた中で今が1番幸せだなって
心の底からそう思った