▽ ページ13
*
元木side
「頼むよ...教えてくれよ...っ！」
少し異様なその空気にさすがの周りも気付き始めて
静まり返ったリハ室
皇輝くんも平塚も今日ばかりは俺に何も言ってこないから
みんなやっぱアイツの変化に気付いてたんだろうな
「......湧くん、ごめんなさい...っ」
部屋の空気に耐えかね言葉と涙を零したのは将聖で
そんな将聖を優しく包み込んだ拓実
「.......絶対言わないでって言われてたんだけど、」
普段、カメラの回ってる時以外、みんなの前で何か言うことがほとんどない拓実が
言葉を選びながら一生懸命伝えてくれた
俺の知らないアイツの事件の話
「...ふざけんな、」
零れた言葉はそんな汚いもので
でも、どうしようも無くムカついて、悔しくて、苦しくて
「おれのせいだ......」
「...あじは、何も悪くないって」
瞳に涙を貯めながら自分を責めるあじと、それを宥める平塚
「...平塚は、知ってたのかよ」
「いや、オレはあじに迎え頼んだとこまでしか...事件のことは知らなかった...」
平塚にすら、話してなかったなんて。
しかも、拓実や、中学生の将聖に抱え込ませて
まじアイツ、何してんだよ...
ずっと拓実の胸の中で泣き続けてる将聖に、声をかける余裕すらなくて
みんながみんな顔を歪ませてるこの異空間
「......ちょっと、頭冷やしてくる」
自分で作ったこの空気から逃げ出した俺は無責任だけど
これ以上ここに居たら、言わなくていい事まで言ってしまいそうで、怖かった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 775人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きい
| 作成日時：2021年5月1日 22時
