公安ですが、同居している上司に恋をしました【降谷零】

本庁の公安恋物語 vol.1 ページ9

4月になった。
朝夜は少し肌寒いが、日中は少し気温が上がって夏のような暑さだ。
いずれはまた寒くなるだろうが。

この時期はアウターに迷うから困ってしまう。
今日は新しいチャコールグレーのスーツで気分がいいが、ジャケットは要らなかった気がしてきた。
庁舎にはいい温度のエアコンが効いている。


｢じゃ、行ってくる。｣


降谷さんはこれからポアロに出勤らしい。
私はすぐに降谷さんを追いかけ、エレベーターホールに向かう。


『降谷さん、今日多分残業になるので夕飯要らないです。』


｢そうか。｣


それだけ伝えると、私は席に戻った。

さて、仕事片付けますか。
最近は組織の方で動くことが多かったため、報告書やら後始末やらが溜まりに溜まっている。
そろそろ警部に昇格してしまえば、部下も持てるんだけどな。







気がつくと時刻は21時だった。
急ぎの仕事は全て片付けたし、しばらく余裕が持てる程度には頑張ったと思う。

我ながらよくやったな…………
私は大きく伸びをすると、背もたれに深くもたれかかる。
ふと、廊下を見ると風見さんがいた。


『風見さん、お帰りですか？』


｢ああ。ようやく帰るところだ。｣


『奇遇ですね。私もです。』


風見さんは疲れているようで、片方の手で反対側の肩を揉みながら話を進める。
今度いいマッサージ店でも紹介してあげよう。


｢そうか。お互い大変だな。｣


『…………ところで、夕飯って食べました？』


｢まだだが？｣










｢生を一つ。｣


『私、梅酒ロックで。』


私達は庁舎から歩いて少しの大衆居酒屋にやって来た。
唐揚げや焼き鳥などの鳥メニューが豊富だ。


『私きゅうりの浅漬け食べたいです。あと、とり天と塩つくねと、ぼんじり！』


｢たこわさ頼んでいいか？｣


『風見さん、降谷さんと同じ好みしてますね。』


私がそう言うと、風見さんはあからさまに喜んでみせた。
風の噂によると、風見さんは降谷さんに憧れてるらしい。
…………人選ミスだな。


｢生と梅酒ロックです。｣


『ありがとうございます。』


｢どうも。｣


『はぁああ…………仕事終わりの一杯って格別ですね。』


｢そうだな。｣


乾杯をして、さっそく飲み始める。
続々と料理が届いて、ご飯とお酒が進んだ。
1時間ほど飲んで、そろそろ2杯目が終わろうとしていた頃＿＿＿＿＿＿





“着信 降谷零”

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