公安ですが、同居している上司に恋をしました【降谷零】

甘い香りの勉強会 vol.4 ページ48

『じゃあ、今日の授業はここまで。』


時給1800円で120分を月5回。
公務員は本来副業禁止だが、これは業務のうちなので真っ当な収入になる。
契約期間は夏休み明けのテストまでの2ヶ月間だけだが、いい小遣い稼ぎだな。


｢藍里さんの授業、めちゃめちゃ分かりやすかったわ〜。｣


｢ね、明日の英語の小テストも大丈夫そう。｣


｢小テスト…………そう言えばそんなのあったわね。｣


『数学は記憶頼りだったけど、英語は得意だからね。いつでも頼ってくれていいよ。』


女子高校生二人から拝まれ、私の鼻は天狗になっていた。
そんな私を後目に、降谷さんは退勤するらしく、梓さんと私たちに軽く挨拶をして帰って行った。
それを見計らったように、園子ちゃんと蘭ちゃんは私に詰め寄ってくる。


｢それで、安室さんとはあれから何かありました？｣


｢キッド様捕獲に来てもらった時に聞きたかったのに、藍里さん急いで帰っちゃうんだもの。ずっと気になってたのよ。｣


『え、えっと………………告白、されました。』


二人が大きな声を上げるので、急いで嗜める。
安室透目的に来店してしたらしき女子高生が、気になったようにこちらを見るが、話の内容は聞かれてなさそうだ。
広まったら叩かれる…………！


｢なんて？ねぇ、なんて？｣


｢シチュエーションも聞きたいです！｣


『みんなからアドバイスを貰ったから、二人でアスレチックに遊びに行ったの。その帰りに、海浜公園に寄って、ちょっと話をしてて、帰ろうとしたら…………』


｢｢帰ろうとしたら？｣｣


『………………君が好きだって。』


二人のキャー！という声が重なった。
またもや女子高生の視線を浴びる。
28歳、そんなに恋バナで盛り上がられると温度差に困っちゃう。


｢やっぱりそうなのよ！両思いなのよ！｣


｢てことはおふたりはもう付き合ってるんですね！｣


『それがね、私まだ返事してないの…………』


場が凍りついた。


｢な、なんで！？｣


『あの人、返事はいつでもいいって言ってさっさと車戻っちゃって…………それ以来バタバタしてて中々機会がないのよ。』


｢早く返事しちゃいましょうよ！｣


『そ、そうだよね………』


女子高校生二人にそう言われ、私はついに身を固めることを決心した。

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