本庁の公安恋物語 vol.3 ページ11
「俺は風見を信じているが。」
『……はい。』
「男と二人で酒の入った食事というのはどうなんだ?」
『降谷さんはめんどくさい父親かなんかですか?』
畏怖していれば、そんな要件か。
以前どこかの女子高校生が門限が厳しくてだるーい、などと話していたが、今現在その気持ちを体感している気がする。
「お前な、酔わされてホテルに連れ込まれたらどうする。」
『第一に、風見さんはそんな人じゃないです。』
「それは俺も……そう思っているが、だな。」
私はその言葉を遮って続けた。
『第二に、降谷さんとはそんなことを言われる関係ではありません。』
降谷さんはそれを聞いて黙る。
私はそれを一見するとそのまま話を続ける。
『第三に、降谷さんとも飲んでますし、なんなら一緒に寝てます。私からは以上ですが。何か?』
私は三本の指を立てたまま、降谷さんを見る。
信号が赤になって、降谷さんと目が合った。
あまりにも無言でじっと見られるので、少し怯んでしまう。
程なくして青信号になると、降谷さんは前を見る。
それと同時に一言、それもそうだな、と呟いた。
その後の車内には一切の会話はなく、RX-7は無事自宅の駐車場に停車する。
エンジンが切れる音がして、降谷さんがシートベルトを外した。
私も同様にシートベルトを外そうとするが、その手は降谷さんによって止められた。
『なんです…………か……』
気づけば降谷さんの顔が近づいてきていて、その瞳に吸い込まれそうになる。
もう少しで、鼻先が触れてしまいそうだ。
『あの、降谷さん……?』
「ここでキスをしたら。」
全身がかっと熱くなるのが分かった。
きっと今の私の顔は茹でダコみたいに真っ赤だ。
心臓がばくばくとうるさいくらいに脈打っている。
「ここで、キスをしたら。お前は…………」
「いや、なんでもない。」
その先を聞けないまま、降谷さんは離れてしまった。
「お前、部屋が戻ったら元の家に帰れ。」
『…………わかりました。』
工事は月末には終わるだろう。
一緒に暮らせるのも残り2週間ほどか。
少し寂しいと思っているのは、一緒に暮らせないことにだろうか。
それとも、お預けをくらったこの状況にだろうか。
多分、どちらもだ。
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雪月(プロフ) - クロコクさん» 指輪ありますか!情報ありがとうございます!過去編は回想のつもりで書いてるので本名バレてないです!家族の件は、まあいっかなって!色々と目をつけていただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2022年6月20日 2時) (レス) @page49 id: ffbd885888 (このIDを非表示/違反報告)
クロコク - 家庭教師の所で夢主本名バラしちゃってない?気のせい? (2022年6月19日 23時) (レス) @page46 id: 3f3443590f (このIDを非表示/違反報告)
クロコク - 降谷さんの名前知ってる人少ないのに、家族に名前教えちゃって、いいのかな… (2022年6月19日 23時) (レス) @page39 id: 3f3443590f (このIDを非表示/違反報告)
クロコク - 間違えた、ビックジェルで指輪はたまに出るのでありだと思います (2022年6月19日 23時) (レス) @page29 id: 3f3443590f (このIDを非表示/違反報告)
クロコク - ビックジェルで宝石はたまに出てるのでありだと思います (2022年6月19日 23時) (レス) @page28 id: 3f3443590f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うさ | 作者ホームページ:
作成日時:2022年5月5日 21時