Charakter ページ43
薄暗い講義室、揺らされた体に反応した宮近はゆっくりと瞼を開いた。数度瞬きをした視界が自身を揺すったのであろう人物の姿を捉えた。
｢ …え、なんで川島上等、え? え…? ｣
｢ そんなに慌てなくても。約束の時間、遅れてごめんね。待たせちゃった。｣
宮近と視線を合わせるようにしゃがんでいる川島の姿は先程までの完璧には生きられないと嘆く姿とは別人であった。
状況が分からないとでも言うように辺りを見回した宮近は隣の席に腰掛けている中村の姿に腰掛けていた椅子の音を鳴らし身を引いた。その中村を起こそうと髪を掻き乱し体を揺らす吉澤の姿にも宮近は驚きが隠せなかった。
｢ な、なんで川島上等以外にも、え? は? ｣
｢ 別にそんな驚かなくても。というか宮近、俺一応お前の直属の上司な。｣
呆れたように笑う吉澤は中々起きない中村の頭頬を軽く叩き始めた。目元を擦り目を覚ました中村に吉澤は鞄から取り出したクリアファイルを手渡した。
｢ 海人、そろそろ時間やばいでしょ。今日早く帰るって言ってたじゃん。これ戦闘記録の報告書、残り埋めて出しといて。｣
まだ霞んでいるのであろう視界に映ったファイルを受け取った中村はゆっくりと鞄を手に取りそれを仕舞い込んだ。何かを思いだしたように宮近の方を向いた中村は呂律の回らないままに言葉を紡ぐ。
｢ 明後日、捜査一緒に行くから。あと、深澤二等に予定空いてる日聞いておいて。それじゃ。｣
ふらふらと眠たそうに去っていく中村に吉澤と川島は笑みを零した。
｢ 海人めっちゃ眠そうじゃん。…まぁいつもか。｣
｢ あれで仕事ちゃんとするし強いんだもんなぁ。｣
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作者名：夏向 | 作成日時：2020年7月19日 11時
