Narzisse IV

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Schmerzen ページ36

｢佐久間、おはよ。起きて。｣

阿部は薄いブランケットを被り眠っている佐久間の体を優しく揺らした。薄暗くしていた部屋の蛍光灯を灯すと佐久間は眩しそうに顔を顰め頭からブランケットを被り直した。

｢佐久間、狩り行かなきゃ。ご飯無いよ。｣

｢ん〜、ねむいであります…もうちょっと…あいでっ｣

勢いよく叩かれた佐久間が痛そうな声をあげる。
寝惚けているのであろう佐久間は阿部に寄り添った。

｢暑苦しい、離れて。というか何時間寝たと思ってるの。寝すぎだよ。｣

｢昨日夜更かししたから眠いんだよ…｣

辺りは既に暗く、街は静まる時間帯。
クローゼットから白いパーカーを二枚取り出した阿部は一枚を佐久間の方へ放った。黒いシャツの上にそれを羽織った阿部はヘアゴムを佐久間に差し出すと、黙って背を向けた。佐久間はそれを受け取ると、ベッドサイドのテーブルに置いてあった櫛を手にした。

｢あべちゃん、今日は髪どんな感じにする? ｣

｢佐久間に任せる。｣

ベッドにもたれた阿部はゆっくりと目を閉じた。
嬉々とした表情をした佐久間は阿部の茶色い長髪に手をかける。器用に編んだ髪を結い上げた佐久間は満足そうに微笑んだ。

｢はい、できたよ。｣

｢ありがとう、佐久間。｣

佐久間が肩を軽く叩くと阿部は立ち上がった。
阿部は手を伸ばすと佐久間の無造作に跳ねている金髪に手を伸ばした。擽ったそうに身を捩った佐久間に阿部はローテーブルに置いてあった薄緑色の羽のキーホルダーが付いた鍵を手渡した。

｢行くぞ。｣

｢はいはーい。｣