Narzisse IV

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血の拭われた刃に人影が映る。背後から襲いかかった喰種を簡単に切り捨てると川島は不敵に笑った。

｢《天魁》は全てを映すので、背後から襲おうなんて幼稚な考え僕には通用しませんよ。馬鹿ですね、もっと頭使わないと。｣

《天魁》は日本刀を模したクインケである。
刀身が長く幅も広い、一撃が重いそれを川島は自由自在に操っていた。軽々しく振るわれた天魁の刃が喰種達を地に落としていく。

敵喰種の数の多さに川島は大きく息をついた。
刃を振るう度に拭われる汚れたジャケットを川島は脱ぎ捨てる。群がることを辞めない喰種達に川島は天魁を振るった。

背後から聞こえてきたアタッシュケースの展開音に川島は振り返ること無く身を屈めた。飛び越えた人影と投げられたのであろう短刀が川島の頭上を掠めた。

｢遅い、二人共。｣

一人は首領であろうピンク髪の男に刃を向け、もう一人は投げたものと対なのであろう短刀を片手に川島の背後から襲うとしていた喰種へと刃を滑らせた。

｢如恵留ごめん、普通に迷った。｣

｢ねぇ如恵留くんこのボスっぽい人俺貰ってもいい? ｣

加勢した二人の遅れての登場に川島は軽く息をつくと、自身も敵へと刃を向け直した。信用しきった相棒達の登場に川島は口角をあげると、先程投げた短刀を拾い上げた吉澤と背を合わせた。

｢今度こそ、戦闘開始。｣

｢だな。｣