Narzisse IV

今日:9 hit、昨日:8 hit、合計:50,983 hit

．ページ20

｢宮近準特等は行かなくていいんですか? ｣

｢こんなので行っても足でまといなので。現場復帰は完全に治ってから、と上司にも言われてますしね。申し訳無いのですが、車椅子押して頂いてもいいですか? ｣

｢もちろん。上司ってどんな人ですか? 気になります! ｣

ラウールは宮近の車椅子に手をかけアカデミー学舎内へと進み始めた。宮近はラウールの問いに答えようと、尊敬を抱く上司の姿を思い浮かべた。

｢川島特等は素敵な方ですよ。公私共に尊敬できる方です。今度紹介します、ね、｣

突然止まった車椅子の動きに宮近はラウールの方を見上げた。険しい表情をするラウールに宮近は不思議そうな表情を見せた。

｢村上一等、どうしました? ｣

｢今、川島って言いましたか…? 上司の名前……。｣

｢え? はい、川島特等です。え? ｣

動揺を見せた宮近にラウールは険しい表情のまま答える。

｢その人、海人お兄様を殺した人、ですよね。｣

明らかな殺意を見せた表情に宮近は戸惑う。

"海人お兄様"

そういったラウールの言葉に、何も知らない宮近は疑問を抱くことしか出来なかった。
捜査官達の前に現れた新たな風は何かを巻き起こすのであろうか。