Narzisse IV

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Verargert ページ19

アカデミー学舎の前、門にもたれ掛かり携帯端末を弄っていた白髪の青年は宮近と宮舘を見つけると走り寄った。綺麗に結われた髪が緩やかな風で靡いた。

｢宮近準特等と宮舘上等で合ってますか? ｣

車椅子の宮近の前にしゃがんだ青年は首を傾げた。
肯定しようと口を開こうとした宮近を少し遮るように青年は姿勢を正すと名乗りを上げた。

｢村上真都一等捜査官です。ラウって呼んでください! ｣

屈託の無い笑顔に少し身を引いた宮近と宮舘は顔を見合わせる。宮舘はポケットに仕舞っていたメモを取り出すと、青年にそれを見せた。

｢これ、君で間違いない? ｣

川島が書いた雑なメモを見たラウールは少し不思議そうに笑った。ころころと変わる表情に宮近は笑みを零した。

｢多分そうですね。これ書いた人誰です?めっちゃ雑っすね。｣

｢なんか目黒と同じ匂いを感じるんですけど………。｣

｢間違いない。｣

携帯端末が何かを知らせる音を鳴らした。
宮近は鞄からそれを取り出すと内容を確認し、宮舘の方を見上げた。

｢宮舘上等、村上一等は僕が案内するので貴方は渡辺上等と合流して喰種の処分に向かってください。駅前の方で暴れて居るそうなので。渡辺上等はこちらに向かっているそうです。｣

｢わかった、すぐ向かう。｣

｢渡辺上等も病み上がりですし、宮舘上等も気をつけてくださいね。｣

ひらりと手を振り走り去って行った宮舘に宮近は手を振った。宮近はラウールの方を向くと、少し申し訳無さそうに笑いかけた。