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｢ 目黒はさ、結局どっちの人間なの。｣
真っ白な部屋に吉澤と目黒が二人。
所長と呼ばれた男と共にメンテナンスに向かった川島がいなくなった部屋で来雨の改良ついて話していた吉澤が突然疑問を呈した。
｢ んー、俺はあちこち行ったり来たりしてるので言い例えるならカラス、ですかね。なーんかかっこよくないっすか。｣
｢ なんか色々生きづらそうだね。面倒くさそう。｣
｢ 吉澤準特等、意外と物言い鋭いですよね。｣
｢ うるさい。｣
一枚一枚目黒に渡された資料を捲る吉澤は少し面倒くさそうに話した。それは何かに怯える目黒を救う手になるのであろうか。
｢ パパの言いなりの犬なんかちっとも可愛くねぇから助けて欲しくなったらいつでも言えよ。｣
そう言った吉澤は目黒の方を見遣った。
ちらりと天井の方を見、少し驚いたような表情を吉澤に向けた目黒は横に首を振った。
｢ だいじょうぶです、たぶん。｣
少したどたどしい話し方は目黒を圧する男の姿を思い出し、目黒の視線の先にあるものに気づいた吉澤は表情を曇らせた。
｢ まぁ、限界来る前に言ってよ。如恵留とか宮近よりは頼りないけどさ。｣
目黒の泳いだ視線を捕えるように頭に手を添えた吉澤はそのまま黒い整った髪を梳いた。
されるがままだった目黒はペンを手にそれを紙に滑らせた。差し出された紙にに書かれた言葉を目にした吉澤は怪訝な表情で俯く目黒の方を見つめた。
『 吉澤準特等は、フレーム拡張の施術の最初の被験者になる予定だったのが中村特等じゃなかったことを知ってますか。』
｢ は………?? どういうこと…?? ｣
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作者名：夏向 | 作成日時：2020年7月19日 11時
