Narzisse

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阿部と佐久間、他の喰種達の後ろを追いかけてくる多数の人影、先頭を進んでいた阿部と佐久間の元にまで最後尾を進んでいたそこそこのレートが当てられていたはずだった喰種の頭部が飛んできた。

突然の出来事に阿部と佐久間が振り向くと、そこには大勢のスーツを着、アタッシュケースを片手に持った喰種捜査官達の姿があった。先頭に立っている金髪の捜査官の隣に立っている黒髪の捜査官の手には血濡れた片手剣を模したクインケが握られていた。

喰種達の上を飛び上がり、喰種捜査官達の前に降り立った阿部と佐久間またの名を、柚葉と桜はガラス玉が埋められている方とは別、黒レースのマスクをした顔から唯一覗かせている片目で捜査官の方を睨みつけ、捜査官達には見えないであろう口角をあげた。

｢これはこれは川島特等殿、と下っ端の皆様?? ｣

嫌味という嫌味がすべて込められたであろう柚葉の言葉を皮切りに喰種捜査官達はアタッシュケースをクインケに変形させ臨戦態勢をとった。桜が右手をあげると、七五三掛こと珊瑚が残りの喰種と共に走り去って行った。

｢ここは通さねぇよ。｣

桜が肩から放出させた赫子で後ろの方で立ち竦んでいる捜査官達を一斉に攻撃すると、ばたばたと倒れる音が夜の街並みに響いた。そんな状況をものともせず柚葉と桜の方を見つめたままの金髪の捜査官、川島はまだアタッシュケースを黒い皮手袋をはめた左手で握ったままだった。ゆっくりと真っ白な包帯の巻かれた右手を掲げると
低い声で命令を下した。

｢処分開始｣