Narzisse

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Scharlachrot ページ5

捜査官の集まる局内、一つの執務室にノック音が響く。

｢川島特等、宮近です。｣

｢入って。｣

｢失礼致します。｣

この部屋の主〈川島如恵留〉は"半喰種"である。
半喰種といっても人工的なもので、体内に核のようなものを埋め込み、赫子が出せる、意思のあるクインケのようなもの。
川島は、実験的に行われた施術に適合し、第一線で活躍。若くして特等捜査官まで登り詰めたエリートである。

そんな川島の所へやってきた彼〈宮近海斗〉は川島がアカデミー講師として校舎に足を運んでいた時に出会い、1から育て上げた教え子であり相棒。川島が信頼を寄せる宮近も、齢23にして準特等捜査官という超エリートであった。

｢ねぇちゃかぁ、その堅苦しいのやめない? ｣

｢建前大事、超大事。｣

｢えー、別にいいじゃん。｣

｢ ……二人きりの時だけですよ。｣

堅苦しい宮近の態度が気に入らないらしい川島は二人きりの時だけという条件付きではあるが、その気に入らなかったことを取り払えたことに、どこか嬉しそうな嬉しそうな表情を見せた。

宮近がこの部屋にやってきたのは報告。
最近勢力を増した喰種組織についてである。