Narzisse

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Anbetung ページ26

川島如恵留は宮近にとって憧れであった。

アカデミー生時代から尊敬の対象で、川島こそ自身の目指すべき姿、なるべき姿だと宮近は思っていた。

｢宮近、最近の調子はどう? ｣

｢川島上等のご指導でクインケは以前より自分の思い通りに動かせるようにはなりました。｣

宮近が川島と出会ったのはアカデミー生時代。
クインケ操術に長けていた川島に自ら頼み込み指導を受けた。

｢ねぇ、その堅い感じ辞めない? ｣

｢堅い感じ…ですか? ｣

｢そ、川島上等って辞めてさ。もっとラフな感じに如恵留くんとかさ? ｣

キラキラとした目で宮近の方を見つめる川島の圧に負けそうになっていると、通りすがりの捜査官が二人に声をかけた。

｢如恵留お疲れ、宮近も。｣

二人に声をかけた____の方を見た宮近は軽い会釈をした。
名前など覚えていない。覚えたくもない。宮近にとっては邪魔者以外の何者でもない。

宮近は川島以外に興味が無いのだ。
同期の優秀と呼ばれている生徒たちも、本来尊敬すべき川島以外の捜査官達も。川島の隣には自分だけがいればいい。他の人間の介入などいらない。これほど自身が喰種で無いことを恨んだことは無かった。

｢川島上等、先程の続きをして頂けませんか。｣

____と川島の話を大人しく聞いていた宮近は無理矢理笑顔をつくり人よりも通る声で言葉を発した。