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〈岩本照〉は生まれた瞬間から喰種であった。
喰種の父親と喰種の母親。
二人共岩本が幼い頃に喰種捜査官の手によって"処分"された。岩本自身、いつか自分も両親のようになるのだと思っていた。
人しか食べることの出来ない喰種、そのうえ狩りのできない岩本は生きる術など、無いに等しかった。
両親が処分されてすぐに"弟"ができた。
血の繋がっていない義理の"弟を守る"
それが生きる理由になった。
弟は普通の人間で、喰種である岩本と共にいると弟まで汚れてしまう。そう考え、弟が一人で生きていける年齢になると、岩本は弟と離れて暮らすようになった。弟は寮のある学校へと通うようになったらしく、岩本には月に数回手紙が届くようになった。
『 ちゃんと食べてますか? 体には気を付けて。』
届く封筒の中には、簡素な一筆箋の手紙と、同級生と紹介されたことのある黒髪の青年と二人で写る写真が入っていた。
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作者名：夏向 | 作成日時：2020年5月25日 23時
