6話 ページ7
「なあなあ聞いたでグルちゃん!ねちっこい告白されて困っとるAちゃん助けたんやって?」
その手の話題が好きな大先生が、仕事の手を止めしゃべりだす。
「ん?あー、まあな。大したことはしてないが」
あんなAはもう見たくない。あの時はなぜか、すごく不安な気持ちになった。
「グルさん最近Aと仲ええよな」
まさかトン氏まで会話に参加してくるとは思わず、驚いた。
雑談をしてもいいということを察知したゾムとロボロも、参加してくる。
「ぶっちゃけどうなん?!Aのこと好きなん?!」
「別に、嫌いではないぞ」
「じれったいやん!そこは素直に好きって言ってええんやで」
無駄に慣れたウインクをしてくるウツに悪寒が射す。
「勝手なこと言うな」
さっきまで作業の手は止めなかったトン氏が、わざわざ手を止めて、思い出すようにつぶやいた。
「俺の勘違いかもしれへんけど。
…Aたぶんグルさんのこと好きな気がすんねんなー」
「あ!俺もそれ思ったわ。あんさんら仲ええし」
それこそ本当に勘違いだ。
あいつが俺なんかを好きになるわけがない。
「あいつは好きな人なんかできんと思うぞ。興味がない」
「そうかな〜。最近のA、ちょっと楽しそうやし。グルさんに話しかけることも多くなってきてる気もするし」
「てかさ!今までそんな仲良うなかったやん!急に話すようになって、他のやつらのなかでもお前らデキてるんやないか、って話になってんで」
「デキてない…」
「そもそも、なんでそんな仲ようなったん?」
「………。
それは、言えん」
本人のいないところで心の内を話すなんて、そんなことはしない。
利用していいと言ったのに、信用を崩すなんて馬鹿な真似、できないだろ。
「ふーん。まあ、話せない何かがあったんやな」
察してくれたのか、四人はこのことについては言及してこなかった。
「まあ俺は、グルさんとA、お似合いやと思ってんで、結構本気で」
「…そうか」
そんな言い方をされると、無碍にできないだろ。
意識くらいは、する。
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作者名:煽田 -アオタ- | 作成日時:2022年6月19日 21時